年末年始 社内SE

今日のテーマは「『ひとり情シス』の年末年始」です。

『ひとり情シス』というものをご存知でしょうか?
企業の中に情報システム部門の社員が1人しかいない状態のことを指します。

もうすぐ年末年始の長期休暇を迎えるタイミングを期に、『ひとり情シス』の問題点と『ひとり情シス』になった時にどう動くべきかを考えてみます。


『CloudSE』がnoteを始めました。 noteでは本編で伝えられなかった小ネタや追加情報を紹介しています。

『ひとり情シス』年末年始の三種の神器

今回のテーマは
「社内SEに興味がある方」
「すでに社内SEで同じ境遇にある方」
「年末年始に備える人」
どの人にとっても学びがある内容になっています。

『ひとり情シス』の怖さを知って、その改善に向けたアクション考えましょう。

なぜ『ひとり情シス』が生まれるのか

『ひとり情シス』が生まれる原因について、私たちは次の2点を重点にみています。

・情報化社会についていけない企業構造
・IT企業の人気化(社内SEの不人気化)

原因① 情報化社会についていけない企業構造

まずは、企業内部の問題です。

2000年代に入って、急速にコンピュータ化・情報化が進みました。
大企業など体力のある企業は、システム部門にも資金を投入し、情報システム部門も拡充できましたが、中小企業では貴重な資金を投じる対象としてみられませんでした。

これは、日本企業における情報システム部門が、利益を生まない非生産部門として認識される傾向が高いからです。
実際、経営者の方とお話しをさせてい頂いて感じる印象は「紙でやっていたことをパソコンで出来るようにする = IT化」という考えが残っている方が多い印象です。

また、「このシステムを導入したら人件費がどれくらい削減できるの?」という質問も多くいただきます。

つまり、システムを導入することで、人件費を削減し、利益をあげたいと考えている企業が、情報システム部門にたくさんの人材を確保するはずがないのは当然と言えます。

その結果として、SIerなどのIT企業に丸投げしてしまう企業も少なくありません。

日本企業のIT投資が欧米などと比較して「守りのIT投資」と呼ばれていますが、その片鱗が見えます。

原因② IT企業の人気化(社内SEの不人気化)

ネットサーフィンやYoutubeをみていると、オンラインプログラミングスクールの広告を見る機会が増えたと思います。

学生や転職希望者の間で、プログラミングを学習してITを仕事にしようとする人が多くなっています。

「ITを仕事にする人が増えれば、社内SEもなり手が増えるのでは?」と考えているとそんなことはありません。

オンラインプログラミングスクールでプログラミングを学んでいる人は、IT業界以外から新しくIT業界を目指す人がほとんどで、ITの現場経験はない人がほとんどで、彼らが目指している就職先もITをビジネスにしているIT企業に集中します。

一方、社内SEに求められる能力としてプログラミング能力は優先度が高くありません。それよりは、SEとしてのPJ運営・運用の経験の方が求められます。完全にスキルアンマッチです。

情報システム部門は離職率が高いとも言われており、IT企業の人気化により、情報システム部門→IT企業へのUターン転職も発生していると想像できます。

なぜ『ひとり情シス』が問題なのか

今回は「年末年始」を例に『ひとり情シス』の2点の問題点をご紹介します。

・トラブルの恐怖と『ひとり情シス』のストレス
・休み備える作業で『ひとり情シス』は忙しい

トラブルの恐怖と『ひとり情シス』のストレス

年末年始休暇などで、『ひとり情シス』の担当者が遠方の実家に帰省するケースも少なくありません。

企業自体が年末年始は完全オフの状態であれば問題は起きないでしょうが、工場や小売店、飲食店などのサービス業などは、年末年始でも営業しているお店も多くなってきました。内容によっては年末年始が稼ぎ時な業種も多くあります。

企業が使用しているシステムは1つだけではなく、複数あるのが当然のように多岐に渡ります。そのどれかに障害が起きて使えなくなったら、困る部分が出てきます。

情報システム部門に複数人いれば、「年末年始はA君が当番で、GWはBさんが当番」のようにあらかじめ決めて動けますし、部門内で調整することができます。

しかし、『ひとり情シス』では、年末年始もGWも夏休みもトラブルが起きれば対応するのは自分になってしまいます。

もちろん、何か起きる可能性を限りなく0にするのが社内SEの務めですが、完全に0にすることはできません。

実家に帰っているタイミングで、急な呼び出しの可能性があるのはかなり高いストレスになります。

休みに備える作業で『ひとり情シス』は忙しい

年末年始などの長期休暇の時期は、「システム管理者が長期間不在になる」、「友人や家族と旅行に出かける」等、いつもとは違う状況になりがちです。
これにより、ウイルス感染や不正アクセス等のリスクが高まったり、被害への対処が遅れるなどのリスクがあります。

『ひとり情シス』にヒアリングした「不安に思うこと」で、半数以上から出た答えは、「セキュリティへの不安」でした。

社内SEは社内のセキュリティ確保も担当していますが、それに関わる問い合わせの窓口にもなるし、セキュリティに関する注意喚起も行います。

『ひとり情シス』の場合、年末年始の前に

・通常業務
・長期休暇前の事前対応
・セキュリティに関する情報収集・注意喚起

を行う必要があります。

ランサムウェアの脅威が高まっていて、経営層からもセキュリティに関する注意をされることも増えてきていると思います。
ランサムウェアに感染した場合、大企業でも小規模企業でも影響の大きさは変わりません。

『ひとり情シス』になった場合、どうするか

『ひとり情シス』のリスクを伝える

『ひとり情シス』のリスクを考えてきました。
『ひとり情シス』になった場合、経営者や上司に『ひとり情シス』のリスクをしっかり伝えましょう。

『ひとり情シス』として頑張るか否かを決める

『ひとり情シス』のリスクをしっかり伝えた上で、自分の望む方向性をしっかり決めましょう。
先にも書いた通り、『ひとり情シス』になっている企業は、良くも悪くも「1人分のシステム管理業務」が無い企業と思われます。
その企業で、『ひとり情シス』を改善する場合、システム管理業務を2人で半分ずつ分担するしかなくなります。つまり2人の兼務者を作ることです。
・自分も兼務になることを覚悟して、増員を目指す。
・社内SEに特化する代わりに、年末年始の自由を手放す。
のか、自分なりの方向性を決めた方が良いです。

『ひとり情シス』で困ることを具現化する

『ひとり情シス』を脱却して情シスメンバーを増やすことに決めたあなたは、『ひとり情シス』だと困ることを社内に知らせる必要があります。

簡単に言うと、頑張って対応しすぎないことが重要です。
手を抜くのではなく、頑張りすぎないことです。

知り合いの社内SE 『ひとり情シス』で、インフルエンザに感染して出勤停止になったときに、みんなが帰宅した夜中に出社して、メール問い合わせの対応をしていたエピソードがあります。
彼は数年後にその会社を退職しましたが、退職理由は『ひとり情シス』に疲れたと言うことです。

あの時『ひとり情シス』を改善できていればと言うのを飲み会のたびに聞いていました。

頑張りすぎず、『ひとり情シス』で困る部分をしっかり認識してもらうことが、長期的に見て、自分にも会社にもプラスになる良い例だと思っています。

『ひとり情シス』の方や、これから『ひとり情シス』になった時にどうしたら良いか考えるキッカケになったら嬉しいです。

これからも頑張っていきましょう!

2022/12/19


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